オルゴールコンサートはおひとりおひとりの心の中に静かに溶け込む感動とよみがえる思い出です」
「西宮市に下宿されていた男性は、大きな屋敷の2階に下宿住まいをしておられました。1階にも、二人の独身者が下宿をしていました。鬱を発症していた為に、オルゴールを購入して、間もない時に大震災に遭われたのです。
一階は潰れ、階下の二人は亡くなられたそうです。朝方のまだ暗がりで梁の中を手探りで外に出て、道なき道を歩き回りました。夜があけて、下宿先に戻った時に、あの立派な家が潰れているのです。その惨状を目の当たりにして仰天されました。
梁の向こうに、独身の少ない家財道具は散らばり、その中で買ったばかりのオルゴールを見つけました。それを取りに潰れた梁の中を頭を低くして、這うようにして、進んだそうです。体がやっと入るほどの潰れた2階だったたと検討をつけて進み、隅に転がったオルゴールを見つけました。
もう一度、揺れがあれば命はないと思いましたが、怖さより買ったばかりのオルゴールを見つけて、こわごわ取りに入ったのです。オルゴールを手にしただけで他のものを取る余裕がありませんでした。高価なスイス製のオルゴールは、思い切って買った彼の宝物だったのです。
命拾いした男性は幸い仮設住宅に入ることができました。男性は災害のために用意された仮設住宅に入居しました。そして、同じ仮設住宅の人たちを集めて、持って行ったオルゴールを聞いて頂いたのです。
集まった皆さんがオルゴールを聴いて、みんなが、泣されたそうです。オルゴールは一瞬に思い出をよみがえらせ、心に響いて今の境遇に涙したのでしょうか?その美しい音に涙線が緩んだのでしょうか?皆の涙が止まらなかったと報告されました。
男性を知っていた女性が男性の安否訪ねてやっとのことで仮設住宅まで来られたそうです。その女性と結婚されました。「お式がまだならと」、その日、オルゴールコンサートに参加されていた方々を来賓にして、結婚式を執り行いました。感動の結婚式でした。
アンティークオルゴールが鳴り響く感動の結婚式でした。命拾いをした男性は、安否を尋ねた女性とオルゴール結婚式を挙げられて、オルゴールコンサートに参加された皆さんの祝福の拍手を頂いて、お二人は幸せそうでした。